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2022.02.07

光陽荘

暮らしの小窓『大切な歯を守ってあげたい連載1/3回』

 

No.1 『歯みがきが気持ち良いと学び直す』

 

口腔内のトラブルが無い人は幸せですね。何かしら、口腔内にその人なりの「気になること」があるものです。虫歯だけじゃなくて、入れ歯の不具合、炎症、口臭、傷や不快感など。そんな口の中の事情、自分のことをうまく言えないから…その人自身が自分のことなどを理解することが難しいから…感覚が鋭かったり鈍かったりするから…様々な事情で課題を持つ利用者への口腔ケアに関する光陽荘での支援を3回に分けて紹介したい

その方の育って(生きて)きた背景について想像をしてみる。もしも、歯みがきなどの習慣が快適で気持ちの良い行為であったなら、きっと今現在『歯みがき』は問題なく行えているだろう。しかし、十分なケアが自分では難しく困難であり、そして支援を受ける際にも支障が出ている方が現実にいる。そこにはケア自体が不快であったり、苦痛であったりすることや、状態が悪くなってから対処(歯科受診など)をしてきたことも、口腔ケアや歯科治療に対してネガティブになってしまう原因があると考えられるのではないか。

では、拒んだり嫌がったり、適切な時間を掛けてケアが出来ない理由を考え、思いを巡らせてみよう。負のスパイラルからの『脱却』には、やはりその人から発せられるサインにヒントがあるのではないか。その視点から…

・声掛けの仕方、雰囲気、関わる人(ケアをする人)との関係性に注目をする。身体への触れ方や接し方を心地良いよいものに…その為には、皮膚等に触れる際には点ではなく面で触れる様に配慮をする。そして、触る時は体の中心から離れたところからアプローチ。もちろん声掛けをしてからのスキンシップを心掛ける。

・その人に受け入れられるアプローチの仕方はどうしたらいいのか。最初から歯みがきではなく、会話やスキンシップを大切にし、過ごす時間が快適で楽しい時間となる様に意識的に組み立てた関わりを丁寧に・大切にする。

・「快」の刺激、「プラス」の関わりを大切にする。小さなことでも『出来たこと』を言葉や態度で評価し、ポジティブなやり取りの積み重ねを繰り返していく。そして、信頼関係を築けるようにして、ケアの時間そのものに親密さや安心感が得られる様に心掛けて支援をしていく。

コミュニケーションが困難な方であればあるほど、感覚的なこと・感情的なことに敏感であると支援者側が理解して取り組むことはとても重要なポイントです。無理強いをせずに根気よくプラスの関りを重ねていくこと。そして、光陽荘においては『待つ支援』も大切だと考えています。限りある時間の中での支援(業務)ですが、その方のタイミングに合わせることはとても重要で大切にしたいポイントです。

そして、『できないこと』として限界や可能性に見切りをつけてしまえば、支援やケアの前進はそこで止まってしまう。決して簡単ではなく、時間も工夫も、根気も信念もいることだけれど、これまでに10数年にわたって支援を経過し、積み重ねてきたことによって利用者に良い変化が現れたことが答えだと思う。

支援の主役は誰なのか、大切にしたい『根っこ』は何なのか。適切で必要な歯みがきという行為・ケアを『嫌』と意思表示するしかない状況を作らない様にするのは、私たち支援者の大切な使命だと思う。ケアを受け入れるかどうかも、その人にとって大切な意思決定であることを忘れずに取り組んでいきたい。

次回は『発信されないサインを見逃さない』として、光陽荘での取り組みをお伝えしたいと思います。

 

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