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2022.02.21

光陽荘

暮らしの小窓『大切な歯を守ってあげたい連載2/3回』

 

No.2 『発信されないサインを見逃さない』

 

口腔内で起こるトラブルの原因は何なのか。『自分の歯の痛みや症状をうまく説明できない』ということは、障害があるがゆえに負ってってしまう『伝わり難さ・把握が難しい』ことに関する点であり、私達にとってわかりやすい原因と言えます。でも、トラブルの原因はそれだけではなく、ケアや治療のための姿勢が保てないことによって、磨き残しや虫歯・口腔内のトラブルを発見できないという理由を始め、様々な原因があると考えられます。利用者への口腔ケアに関する光陽荘での視点や支援を3回に分けて紹介する第2回目です。

口腔ケアにおける見逃しやすいポイントは、それがどこでどういうことなのかを支援者は基本的に理解して支援をしなければならない。その上で、意識すべきはコミュニケーションが困難なために症状の把握が遅れがちになることや、痛みやトラブルが生じて初めてわかるようなことがあると、『支援者側が十分な認識』をしていないといけない。そうでない場合は、口腔内でのトラブルは繰り返し起こり得るのです。出来ることであれば、問題となる前に予防できるような支援でありたいと思う。その為には…

障害の特性を知ることはもちろん、様々な可能性も視野に入れる必要があると考えます。その内のいくつかをあげてみると…

・他者から身体を触れられることへの抵抗感が強い方

・ケアなどの意味の理解、未知への不安や恐怖を強く感じる方

・麻痺もしくは不随意な運動などによっておこる不都合や不具合

・五感が鋭すぎたり、鈍すぎたりすることによる不都合や不具合

・多動であったり、待つことが出来なかったりする方

・同じ姿勢を保つこと、ケアを受ける姿勢を取ることが苦手な方

通常のコミュニケーションが取れる視覚障害単一の方であった場合でも、その障害ゆえの困難さは容易に想像できる。例えば、磨き残しを自身で確認し難い点や、そもそも正しい磨き方を視覚によって学ぶことが出来難い。様々な工夫でスキルを習得してくるが、そこにはどうしても個人差が生じる。言葉で伝える場合でも、受け取る人の言葉の理解の度合い(具合・深さ)で伝わる内容は異なる。さらに暮らしの中の経験や背景、理解の度合いや生活スタイル等々の差異はもちろん、見えない・見え難さの具合に合わせて不足している点は個別に工夫された支援が必要である。

そして、これらの配慮や原因の可能性を踏まえた上でのケアを進めていくにあたって、そのケアの柱には専門職による支援が必要と考え、歯科衛生士による定期的な支援を光陽荘では継続的に行っています。利用者に対する定期的なチェックと口腔ケア・予防支援に留まらず、その目的には実際に歯科受診が必要になる場合を考慮し、『口の中に他人の手や物が入る、頬などを引っ張られる、器具による振動がある』などの行為に慣れてもらう意味合いも大きいです。

一概に口腔ケアと言っても、その一つひとつの関り方には様々な工夫があります。その方に伝わる様な言葉を使う。まず、会話の中に名前を入れて話す。『あなたに話しています』というメッセージです。そして、その方にわかりやすい表現をする。歯の表面を研磨する器具は『機械が入るよ』、泡状タイプの歯磨き粉は『あわ・泡で磨くよ』または『いい匂いので磨くよ』と言い鼻に近づけて行為の見通しを伝えています。

その行為の終わりが見通せるようにカウントするのも大事な配慮。『1・2・3・・・10』と声に出して数えることや、歌の一節(♪♪あめあめ♬ふれふれ母さんが~♪)でどれ位続く行為かを予測出来る様に工夫する。歯の裏側を磨く際には『ベロとぶつかるよ~』と伝える。舌ではなく『ベロ』。親しみのある表現で、始終優しく出来たことを褒め、『頑張ったね、きれいになったね』と共感する言葉のシャワー!

歯科衛生士が定期的に専門的な支援を個々の利用者に行っていますが、歯みがきや口腔ケアは日常的に行うものです。日々のケアを行いつつ、暮らしの中での変化やサインとなる言動に常に気を配っているのは利用者の一番近くにいるケアワーカーです。ケアワーカーと歯科衛生士、その両者が手を結び、利用者の快適な口腔環境を保つ為、利用者の声なき声・サインを見逃さない様に、協力し合って日々の支援をしています。

次回は『快適さのキープは支援の質のキープ』として光陽荘での更なる具体的な取り組みをお伝えしたいと思います。

 

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