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2022.07.27

光陽荘

暮らしの小窓『手引きの手引き』

介護をする上で、基本となる技術は長い実践の中から、多くの人に共通する要素で培われています。視覚障害者に対する移動支援において『手引き・ガイドヘルプ』もその一つであり、光陽荘においても日常的に支援が必要となる技術です。

基本は視覚障害者が、ガイド(介助者や案内人等)の肘のやや上を軽く握ります。その際、視覚障害者の肘が90度になることがポイントとなります。そうすることで視覚障害者は、ガイドより半歩後ろに位置することになります。

自分よりも先にガイドがいることにより、視覚障害者にとって心理的にも安心感が生じることもあるでしょう。そして、この基本的な姿勢で誘導する際に、注意することは二人分の幅をガイドが意識することはとても大切です。

部屋などの入り口や狭所を通る時など、誘導している際に二人分の幅を意識していないと視覚障害者がドアや壁などに体をぶつけてしまいます。狭所での誘導の仕方や声掛けなどの支援が必要となります。

身長差がある場合には、手首付近を持ってもらう場合や、肩に手を置く場合など、その人に合わせることや話をすることで打ち合わせたり折り合うことも必要となります。肘を視覚障害者に持ってもらうということは、あくまで主体は視覚障害者であって、ガイドは不足する部分を補うということ。

視覚障害者が能動的に移動支援を受けるというスタンスです。握っている手から伝わる情報は、意外にも多くが伝わり、視覚障害者側には歩行スピードから坂や階段の上り下り、道や角の曲がり具合がダイレクトに伝わります。ガイドには、視覚障害者の心理面が握る手の力で伝わって、緊張感があったり『怖い!』と感じたりしているときは、握る手に力がこもります。

では、不安が強い方ではどうでしょうか。肘を持つだけでは安心できず、前に人が立つことで安心感が得られる方もいるでしょう。長年、そういう誘導を受けていることで、自然と一番安心できるように求めてくる手は、自身の前方を探るように出てきます。そして、ガイドはその手をしっかりとつかんで初めて歩みが進みます。

足の筋力が落ちてしまい、足取りが不安定な方もいます。不安なこともあってか、自らガイドの腕にしがみつくように手を取り、そして体重を掛けるような姿勢となって誘導をする方もいます。

身体的な問題がない場合でも、今までの習慣や長年の馴染んだやり方が大きく影響して、新しい誘導方法を受け入れ難かったり、覚えたりしていく事が困難な方など。基本を大切にしつつも、個々に合わせていく必要性があります。

視覚障害は『情報と移動』の障害とも言われます。移動については、誘導方法のあり方と共に、ガイドとの信頼関係も大きく関係し、日々の誘導の積み重ねから安心できる暮らしにつながります。もちろん、移動に関する環境的な整備は基本となりますが、『その人の支援に向き合う』ことが大前提であると日々感じています。

生活歴、経験の幅、障害の程度など、一人として同じことがない中で、多くの人に共通して大切にしなければいけないこと、この両面を見つめる視点を大切に努めていきたいです。

 

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