平日の日中、たんぽぽの皆は隣接する光陽荘に『出勤』します。そこで行うのは、光陽荘で暮らす方達の衣類をはじめとした大量の洗濯物を整理する作業をしています。
光陽荘に入居する1割程の方は、自分自身で洗濯を行い衣類等の管理をしていますが、その他の多くの方が一つの暮らしの基盤である洗濯・整理・管理の支援が必要です。そこで『たんぽぽ』の出番です。
その洗濯たたみの作業では、個々の衣類を一つひとつたたみ分類をしていくのですが、上着やズボン・下着や靴下、タオルやエプロンなど、それらを種類ごと、そして作業の工程ごとに分業して行っています。
まず、洗濯物が裏返しになっている物を表になる様に手で生地を触って判断し、一つひとつ衣類を表に戻していきます。その際に、湿っている箇所や生渇きの物が無いかもチェックして、乾いていない物を見つけたら他の物とわけて再度干す様にします。
そして、種類ごとにたたみ分けていくのですが、単にたたむだけでなく、内側に『たたみじわ』や『よじれ』が無い様に、手で一つひとつ確認しながら行います。確認の仕方にもその方のこだわりがあり、じっくりと丁寧に整えています。
たたみ終えた物は一定の規則(並べる方向や積み方)でそろえて積んでいきます。そうすることで、整理し易い様に・目立ち過ぎない様に名前を記すところを統一することが出来ます。そして、その楽屋裏?では…
日々のケアをしながら光陽荘の職員が『ながら仕事』の手仕事によってそれを支えます。それぞれの衣類にあったやり方で名前を記す地道な作業をしています。その配慮は対となっている靴下にもそれぞれ記しており、洗濯たたみの際においては、それを確認して組み合わせる役割(作業)も重要です。
たんぽぽ・光陽荘の支援におけるポイントの一つに『見え方』への配慮があります。その方の見え難さはそれぞれが異なっており、そこには色を判別出来る方、見える範囲が限定される方、コントラストがはっきりしている事で見え方が異なる方など個人差への配慮が必要です。それに加えて、識字・読んで分別出来る方などへの考慮を経て…自身が持ち得る力、それを用いることが出来て活かせる作業パートで活躍しています。
その一つである『色の濃淡がわかる方』においては、同じタオルでも使用目的ごとに色を変えているタオルを、色ごとに選り分ける作業のみに特化(工程を切り取る)して行ってもらいます。
勿論、触覚・触った感じを最大限活かしている方もおり、日々欠かせない大量の『おしぼり』たたみ等においては、縫い目などを頼りにきれいにたたみます。そして、山の様に積み重なっているタオルをコツコツと、地味に地道にその工程を淡々と行える『まじめさ』にはいつも頭が下がります。
たたみ上げ積み重なったタオルは、見ていて気持ちの良いものです。この自身の『持ち得る力』を集めた洗濯たたみの作業の場では、たんぽぽのみならず光陽荘に入居している方達の中でもたんぽぽの皆と共に行っており、その人のその日の活動に合わせて『自分の役割』と自覚して行っています。
日々の洗濯物には食事の際に使用するエプロンも含まれます。光陽荘では毎日毎食、沢山のエプロンが必要になります。いつも清潔にしておかなければいけません。縫い目やマジックテープを手の感覚で確認して丁寧に1枚1枚たたんでいきます。
一連のこの洗濯たたみは、これからも決して無くならない作業であり、とても大切な日々の仕事です。そして、誰かが必ず担わなければならないことでもあります。毎日の風景となっている『たんぽぽ』の皆が行っている洗濯たたみですが、当たり前のようにそこにある作業風景は、実は光陽荘における『欠かす事の出来ない暮らしの基盤の一つ』だと言えます。
この洗濯たたみが施設において重要であることを、たんぽぽの皆が自覚して行っているようには見えません。肩を張らずに実に自然体で日々作業を行ってくれています。その姿には『決してやらされている』という意識ではなく、『役割があること・自分が任されていること』として、自らの自信となり日々の暮らしの中でのメリハリとなっている様に見受けられます。
さて、今日の洗濯物は片付きました。ひと仕事を終えて…おや!もうこんな時間、お昼ごはんですよ。今日のメニューは塩らーめん!労働の後のごはんは美味しいんですよね。ん?いち早く食堂に向かうけれど…今日、全員で働いていたかな…まぁ、そんな日もあるんだよね。
福祉を通して地域の方を
支える仕事をしませんか?